AT機

ATとはアシストタイムの略で、液晶画面などに表示された通りの押し方でリールを止めることにより小役が揃いコインが払い出されます。(左図の例では右・左・中の順に止めることによりベルが揃っています。)抽選によって決まる継続ゲーム数によってはビッグボーナスの数倍のコインを獲得することも可能です。多くの機種でAT突入時にはビッグやレギュラーのように目押しを必要とせず、液晶演出を経てもしくは突然始まります。(一部の機種ではAT発動に目押しを必要とします。)

ATに当選すると指示された通りに押すだけでコインが増えるため、超初心者の目にはAT当選によりBIG中の小役ゲームのように内部確率が高くなったかのように見えます。実際にはAT中か否かに関わらずリールの止め方(多くは押し順)さえ合っていればATの時と同じようにコインを増やすことが出来ます。逆にAT中でも液晶画面などを隠して押し方をわからないようにすれば通常時となんら変わりありません。

つまりATとはBIGやREGのボーナスと異なり押し方を表示するだけです。一撃万枚と聞くとたいそうな役に当選したみたいですが、「ATの抽選」を単純に書き換えると「押し方を表示するかしないかの抽選」となります。「AT高確率状態」というのも「高確率で押し方が表示されるようになる」と考えることが出来ます。


普通の機種とAT機を比較した時の一番大きな違いはアシスト機能の有無ではなく、抽選する小役の違いです。上の図は内部の抽選役の種類の違いの比較で、確率が低い役ほど高さが狭くなっています。(BBからチェリーまではもっと狭くなるはずですが見やすさを優先しているため広くなっています。)左が今回のATとは関係ないストック機、中央がノーマルな機種、一番右が押し順のAT機の抽選役の一例です。このAT機の例ではベルが押し順の数の分だけ通常の機種よりも多くなっています。重要な点はAT中のみ一番右の状態になるのではなくAT中か否かに関わらずAT機では常にノーマルな機種よりも多くの種類の役の抽選を行っているということです。

上図の例で、ノーマルな機種において内部の抽選でベルが当選した場合はベルを狙えばどんな押し順でもベルを揃えることができます。しかし一番右の例のAT機において順押しをした場合にベルが揃った場合は、左中右の押し順のベルに当選していたために揃えることが出来たのであって、もしハサミ打ちをしていたなら揃わなかったベルです。逆にハサミ打ちでベルが揃った場合は左右中の順のベルに当選していたことになります。(押し順方式の多くのAT機ではオヤジ打ちでも取りこぼしをしない間隔の図柄が使用されます。)

ノーマルな機種ではボーナスにハズレておりなおかつ小役を狙っても揃わなかった場合がハズレとなりますが、AT機でボーナスハズレかつ小役を狙って揃わなかった場合は別の押し順の小役に当選していた可能性が大です。AT機では抽選する役の種類の多さから本当に純粋なハズレの確率が非常に低く、これをAT抽選の契機とするAT機が多いために「純ハズレ」としてAT登場以前は何の意味も持たなかったハズレが脚光を浴びることとなりました。

ストック機でボーナスにハズレてなおかつ小役を狙っても何も揃わなかった場合は、リプレイに当選していたけれどもRTのリール制御によりハズされた可能性が大です。ストック機での純粋なハズレの確率はAT機のそれよりも低く、こちらはストック放出の契機となるためストック機のハズレも「純ハズレ」として重要視されています。

一部の機種に強ハズレと弱ハズレを持つものがありますが、これは純ハズレを出目(リール制御)により直接AT当選かAT抽選かを分けるものです。純ハズレ時に極めて低い確率で特定の出目(チャンス目など)が出た場合を強ハズレと呼び、この場合は即AT当選となります。純ハズレ時に特定の出目が出なかった場合を弱ハズレと呼び、この場合は通常通りAT抽選を行うというものです。

メイン基板(後述)からサブ基板(後述)への信号は一方通行であるため、AT抽選を行うサブ基板が強・弱ハズレの抽選により、リール制御を行うメイン基板の出目に介入することは出来ません。このことから、リール制御の特別な出目発生の確率をATの概念がないメイン基板に仕込んでおき、サブ基板では純ハズレかつ特別な出目が出た場合は直接AT当選、純ハズレかつ特別な出目なしをAT抽選とし、攻略本では前者を「強ハズレ」後者を「弱ハズレ」と呼んでいると考えられます。


ATの登場によりパチスロはパチンコに比べ非常にギャンブル性が高くなり、社会問題にもなってきました。それによりミリオンゴッドなど「著しく射幸心をそそる」と判断された数機種が検定取消となり撤去される事態となりついには規則改正によるAT廃止という動きも出てきています。

それではなぜ非常にギャンブル性の高い機種が検定を受けて市場に出回ったのかを考えてみましょう。この問題のポイントはATの性質が規則にない概念の上に成り立っているという点です。いわゆる「抜け穴」です。

この問題を考える上でよく出てくる語が「サブ基板」です。サブ基板とはメイン基板の抽選結果の信号を受け取り液晶画面や電飾などでの演出を担当する基板で、対するメイン基板は役の抽選・リール制御・払い出しなどスロットの主たる機能の全ての役割を担う基板です。

AT機ではメイン基板が小役の抽選結果をサブ基板に送り、演出担当のサブ基板はAT中であればその小役の揃え方を液晶画面などに表示します。ATは上の節でも書いたとおり役の抽選ではなく役の揃え方を表示するかどうかの抽選であり、この抽選は演出の抽選なのでサブ基板で行われています。保通協と呼ばれる検査機関での試験はAT機登場以前の考え方なのでサブ基板は試験対象外となっており、ここが巷での争点となっています。

現在(2004年2月)の規則(ピー・ドット・ジェイピーの資料室では「期待値の高い手順で(普通は3枚掛け順押し)17,500ゲーム以上機械打ち(オヤジ打ち)を行った場合に出玉率の範囲は55%~120%とする」というような感じの項目があり、これに基づき試験が行われています。注目すべき箇所は「(規制上ではなく実務上)どの押し順でプレイし続けるのが一番期待度が高いか」という点です。

メイン基板はノーマルな機種と比べて抽選する小役の種類が多くなっただけでATの概念は持ち合わせていません。このため「試験で採用する押し順」とは異なる押し順の小役に当選していた場合は単なる取りこぼしとして扱われます。つまり同じ押し順・オヤジ打ちでプレイし続けた時の出玉率が基準以内なのでOKということになります。

規則の中で変則打ちに係る項目は特に見当たらず、ATは現在の規則の上では液晶演出の1つとして解釈することができると思います。また、液晶演出の確率に関しての項目も規則には無いのでAT発動が抽選でなければならないという必然性はありません。ストック機ではないのに(ATの)「天井」があるという機種も普通に存在します。例えば大ハマリ中は液晶画面のキャラクターが疲れた表情に変わるような機種があったとして、基板の違いという視点で見た時にはATの天井もそれと同じ類の演出と見なすことが出来ます。

実際の例としては、AT機ではないキンパルで「カエルが通過すると小役当選」という演出がありますが、この時に小役を狙っても揃わなかったらボーナス確定です。逆に考えると内部でボーナス確定時に何%かの割合でカエル通過の演出を行っているわけで、この演出とその抽選に関してはメーカーの思い通りに行っています。これを逆手に取ったのがATです。

「サブ基板が試験の対象外だから」という説明はよく目にしますが、「どうして検査にパスしたか」に関しての情報がほとんどないため、この検定取消の節は矛盾が少ないと思われる推測の上で構成しています。大いに間違っている可能性もありますので予めご承知おき下さい。以下は特に参考にしたピー・ドット・ジェイピーへのリンクです。

#086:検定取消続報 / #067:AT機は本当に消滅するのか? / #055:まだ間に合う?もう間に合わない? / #008:ロデオ「灼熱牙王」の真実

「もともとサブ基板は、ゲーム性の演出などのため装着が始まり、射幸性に絡まないとして型式試験の対象とはされていませんでした。ところが、指示通りに押すことによって通常の出玉率をはるかに超えるパチスロ機が市場に出回り、昨年春以来、業界で最大の問題になっていました。」(#067より引用)

「多くの人は勘違いをしているようだ。AT機はサブ基板を検査対象外としただけで実現できた仕様ではない。サブ基板を検査対象外にした上で「メイン基板から小役等の信号をサブ基板に送り」「その信号を成立役の入賞前に送る」から実現できたのである。今の試験制度の盲点をついているのは間違いないが、試験制度の盲点をつくだけでAT機はできないのだ。」(#055より引用)

「試験上では「目押し」等の技術介入要素は考慮されないのが現在の保通協の実務実態であるために、まずこの規制がやぶられた。(中略)保通協から「なんで設定6で120%を超えてるんだ」と指摘され、販促資料を書き換えている。これこそ各社がよく使う「設定6、119.9%以上」なる変な記載の始まりである。」(#008より引用)


ここまでは現在主流の「押し順」をATの例として扱ってきましたが、AT=「押し順」ではありません。爆裂ATの元祖である獣王のATがアシストするのは「押し順」ではなく「押す図柄」です。(表示された図柄を目押しする必要がありますが、目押しが出来ないとサバチャンが無駄になるため、初心者でも楽しめる「押し順」の機種が多くなったようです。)

上図の一番左が獣王の役構成で、15枚役が他の機種よりも多くなっています。この15枚役をわかりやすく全て列挙したのが左から2番目の図で、全部で12種類あります。サバンナチャンスと名付けられたATに突入するとこれらの15枚役の図柄を表示することにより大量獲得を可能にしています。

サバチャン時は右のドット液晶に上図中央のような3つの図柄が表示されます。上図のような例が出た場合は左リールにダチョウ、中リールにライオン(赤7)、右リールにゾウを狙って目押しします。役構成を見ればわかりますがライオン・ゾウを狙っても中・右リールで実際に揃うのはチェリーなので色だけを見て狙っても大丈夫です。また、リール配列を見ると左リールはライオン(赤7)・ゾウ・ダチョウの3種ですが、中・右リールはライオン(赤)とゾウ(青)の2種類で図柄も偏っているので目押し力はあまり要求されません。

「獣王」(2001)の後継機が「猛獣王」(2002)で、獣王の押し順(目押し不要)版が「サバンナパーク」(2003)です。残念ながら現在では猛獣王以外の機種を目にすることはほとんどありません。オフィシャルページにサバチャントレーニングがありますので体験してみたい方はお試しください。(このトレーニングのリール速度はかなり遅いので、目押し初心者の方はこのタイミングを覚えてしまうことのないようご注意ください。)パチンコビレッジに獣王に関する面白い読み物がありますので興味のある方はどうぞ。以下は獣王に関連するリンクです。

獣王/猛獣王/サバンナパーク


一部のAT機で見かけるシングルボーナス(単にシングルやSBやSINなどとも呼ぶ)は対象の図柄が揃うことにより始まる1GのみのJACゲームです。左図はサラリーマン金太郎の役構成(絵は若干異なります)で、この図の例ではチェリーがシングルボーナスとなっています。(チェリーという「小役が揃ってシングルボーナス突入」と考えそうですが、正確には「シングルボーナス入賞によりJACゲーム作動」が正しいようです。)具体的にはチェリーが揃う(この場合は揃うというより左リールに出現の意)と2枚か4枚の払い出しがあり、次のゲームは1枚掛けになって中段にリプレイ図柄が揃います。BIGやREGのボーナスと違い、シングルでは入賞までフラグ持ち越しということはありません。(つまりBIG,REGでは7かBARを揃えることが出来なくてもボーナスは消えませんがシングルは取りこぼした時点で消滅です。)ちなみに左図の例の場合は角チェ(上段or下段チェリーのこと)の時に払い出しは4枚になりますがJACゲームが2回にはなりません。

サラリーマン金太郎ではAT中に押し順ありのシングル(ここではチェリーのこと)とその後に続くJACゲームをナビすることによりコインの増加を図っています。多くの機種でチェリーは左リールに2つで取りこぼしの発生する小役ですが、同機種では左リールに3つのチェリーがあり図柄間隔が6コマなのでナビ時にはオヤジ打ちでも取りこぼしがありません。

サラリーマン金太郎やアラジンA(音量注意)などシングルボーナス搭載のAT機の多くにはJACゲームにも押し順があります。このような機種ではシングルボーナス以外のBIGやREGボーナスのJACゲーム消化時にも押し順を必要とします。AT機でAT中のような画面になったにも関わらず押し順が表示されない場合は、恐らくATが発動していない通常時に上図例での左・中・右のシングルボーナスに入賞しJACゲームが作動した状態です。偶然押し順ありのシングルに入賞したけれどもAT中ではないのでJACの押し順はナイショという訳です。なお、このような機種でのAT継続ゲーム数はシングルをナビしたゲーム数で、AT中であってもそれ以外のゲーム数はカウントしないという特性により爆裂を引き起こしています。

サラ金・アラジンA共に一部の府県で検定取消となり、メーカーの自主回収により2003年末までに全国から撤去された模様です。現在ホールに設置してあるのはサラ金SとアラジンSで、いずれも射幸性(ギャンブル性)が若干抑えられた代替機です。サラ金には後継機としてスロッター金太郎RXがあります。

サラリーマン金太郎 / スロッター金太郎RX

  アラジンA


サラ金・アラジンAと共に検定取消となった3機種の中でも特に有名なAT機がミリオンゴッドです。CタイプでBIGやREGはありません。3枚掛け専用ですが5ラインではなく3ラインです。主なボーナスがATのみなのでメインリールよりも液晶画面に重点が置かれています。順押し限定というルールがあるため順押し以外の押し方をすると液晶画面で怒られた上に更にはATの抽選が行われないというペナルティーがあります。

このような非常に特異な性質によって1日で5万枚(1枚20円の等価で100万円)という驚異的な出玉を可能にしているようです。しかし大勝ちの裏には常に大負けが存在するわけで、その異常なまでの射幸性の高さにより新聞などで取り上げられるほどの問題となりました。

ATの対象となる小役は押し順ありの黄7です。この15枚役は順押し(左・中・右)の確率が11/256でその他の順序が49/256となっており、順押しではあまり揃いません。なお、ゴッドゲームと呼ばれるATは継続ゲーム数によりプレミアム、スーパー、ノーマルの3つ(略してPGG,SGG,GGorNGG)ありますが、確率は全てメーカー未発表です。攻略誌によるとPGGは1/8192、SGGは1/4096、GGは設定毎に確率が異なり、設定1で1/1651~設定6では1/475です。ちなみにこの機種には、順押し限定にも関わらず検定試験は逆押しで通したというとんでもない逸話があります。

この機種も2003年末までにほとんど撤去されたようで現在ホールにあるのは射幸性が抑えられた代替機のゴールドXRです。当初ゴールドXが代替機とされていましたが、導入後に2chなどでセット打法が紹介されたためにミリオンゴッドとともにゴールドXもゴールドXRで置き換えられることとなりました。

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